結果の読み方

シミュレーション結果は「ひとつの予測」ではなく「起こりうる結果の幅」を表します。各要素の意味を押さえると、数字に振り回されずに落ち着いて読み取れます。このページでは、帯・確率・キャッシュフロー表の見方と、よくある誤解を整理します。

なぜ「ひとつの予測」ではないのか

将来の運用リターンや支出は、確実には分かりません。たとえば「平均年3%で増える」という前提でも、実際には年によって大きく上下し、その順番(特に取り崩し期の前半に下落が来るか)によって最終結果は変わります。そこで本ツールは、毎年のリターンを確率的に変えながら同じ人生を何千通りも計算し、その結果の散らばりを「帯」や「確率」として示します。1本の線ではなく幅で捉えることが、この種のシミュレーションを正しく使うコツです。

資産推移の帯(P25 / P50 / P75)

グラフの帯は、多数の試行結果を良い順に並べたときの位置を表します。P50(中央値)は真ん中、P25は下から25%目(やや悲観)、P75は下から75%目(やや楽観)のおおよその目安です。たとえばP25が「20年後に資産が底をつく」結果なら、4回に1回程度はそれより悪い展開もあり得る、という読み方になります。

帯の広がりそのものも重要な情報です。帯が広いほど結果のばらつき(不確実性)が大きく、リスク資産の比率が高い・期間が長いといった条件で広がりやすくなります。帯が時間とともに大きく開いていく場合は、「うまくいけば大きく増えるが、悪ければ大きく減る」状態だと理解できます。

中央値(P50)だけを見て安心・不安を判断せず、悲観側(P25 など)でも家計が成り立つかを必ず確認しましょう。悲観ケースでも破綻しない計画であれば、より安心して過ごせます。

お金が尽きない確率

計算期間中に世帯の金融資産が一度もマイナスにならなかった試行の割合です(=1−累積破綻確率)。たとえば「92%」なら、同じ前提で人生を100回やり直したとき、92回はお金が尽きなかった、というイメージです。

この数字は100%である必要はありません。100%を狙って極端に支出を切り詰めたり、過度にリスクを取ったりするより、「悲観ケースでも大きく破綻しない」水準を目安にしつつ、どの前提(退職時期・支出・利回り・年金)がこの確率を動かしているかを確かめる方が建設的です。確率が低いときは、退職を数年遅らせる・支出を少し下げる・取り崩しを後ろ倒しにする、といった調整の効き目を一つずつ試してみてください。

キャッシュフロー表

年ごとの収入・支出・新規運用額・取り崩し額・資産残高(中央値)の推移です。どの時期に取り崩しが増えるか、教育費や住み替えなどの大きな支出が資産に与える影響、年金開始で収支がどう変わるかを時系列で確認できます。資産の「山」と「谷」がいつ来るかを把握すると、対策を打つべき時期が見えてきます。

よくある誤解

  • 「P50=必ずこうなる」ではありません。 中央値は数ある結果の真ん中にすぎず、実際にはその上にも下にもなり得ます。
  • 「確率が高い=絶対安心」ではありません。 前提が楽観的なら確率も高く出ます。前提の妥当性とセットで見ましょう。
  • 1回の結果で判断しない。 乱数を使うため、再計算すると数字は多少変わります。傾向で捉えるのが正解です。

前提を変えて試す

結果は入力した前提に強く依存します。退職年齢・運用利回り・支出などをいくつか変えて試し、幅をもって捉えることをおすすめします。前提の置き方は前提の考え方を、入力値の決め方は入力項目の決め方を、計算の仕組みは計算ロジック・前提をご覧ください。