計算ロジック・前提

本ツールがどのように将来を試算しているか、どんな前提に立ち、どこに限界があるかを説明します。結果を正しく読み取るための前提として、ご一読ください。

モンテカルロ・シミュレーションとは

将来の運用リターンは確実には分かりません。そこで本ツールは、毎年のリターンを確率的にランダムに生成し、その1本の人生(試行)を期間の終わりまで計算します。これを多数回(既定で「高速」2,000回・「精密」5,000回。最大50,000回まで指定可能)繰り返し、結果のばらつきを分布として集計します。

「お金が尽きない確率」は、こうした多数の試行のうち、期間中に資産が枯渇しなかった割合として求めています。単一の予測値ではなく、起こりうる結果の幅を示すことが目的です。

実質値(購買力ベース)で扱う

金額・利回り・標準偏差・配当利回りはすべて実質値(2025年の購買力ベース)で扱います。物価上昇(インフレ)は内部で調整するため、表示される将来の金額は「いまの価値に換算した金額」です。金額の単位はすべて万円です。

運用リターンの前提

  • 期待リターン(平均)と変動の大きさ(標準偏差)を用いて、各年のリターンを生成します。
  • リスク資産の年次リターンは、入力された期待リターン・標準偏差にもとづく対数正規分布から、資産ごとに毎年サンプリングしています(不動産価格の変動率は正規分布で、±20%の範囲にクリップ)。
  • 資産は「現金(無リスク)」と「リスク資産(任意個数)」の2層で表します。
  • 暴落シナリオ(任意設定)を有効にすると、対象資産に共通の下落局面(2状態のマルコフ過程)を適用できます。

期待リターンには、各年の単純収益率の算術平均を使用しています。入力された期待リターンと標準偏差から対数正規分布のパラメータを算出し、各年のリターンを生成します。各試行は毎年のリターンを複利で積み上げるため、長期で実際に得られる平均成長率(複利・幾何平均)は、ばらつき(標準偏差)が大きいほど期待リターンより低めに出ます。これはモデルが自動的に織り込みます。

過去の運用実績として公表されている「年率リターン」には、CAGR などの幾何平均が使われている場合があります。その数値をそのまま期待リターンとして入力すると、前提が一致しないことがあります。将来の利回りは控えめに設定してください。
実際の市場は完全な対数正規分布に従うわけではなく、極端な暴騰・暴落や構造変化を完全には再現できません。期待リターンや標準偏差は、過去の市場が将来も続くことを保証するものではなく、入力する数値は前提にすぎません。

資産間の相関について

複数のリスク資産を設定した場合、各資産のリターンは(暴落シナリオを除き)互いに独立に生成しており、資産間の相関は簡略化して扱っています。実際の市場では、株式・債券・為替・不動産などが同じ局面で同時に動くことがあるため、分散投資の効果や同時下落のリスクを完全には表現していません。これは欠点というより、簡易モデルとしての割り切りです。

税・年金・DC・住宅の扱い

  • :課税口座・NISA(非課税)・確定拠出年金(DC)の区別を踏まえて取り崩しを計算します。DCの受給は退職所得課税の概算を反映します。
  • 年金・退職金:入力された受給時期・金額に基づき収入として計上します。
  • 住宅:賃貸・持ち家・住み替えを区間(タイムライン)として表し、家賃やローン、維持費・固定資産税、購入/売却の一時支出を反映します。

これらは一般的なルールを簡略化して反映したものであり、個別の制度の細目や改正、各人の事情をすべて再現するものではありません。具体的には、次のような簡略化を行っています。

  • 課税口座の譲渡益課税・NISAの非課税枠・DC/iDeCoの受取時課税は、区分を踏まえて概算で反映しています(売却タイミングや銘柄ごとの取得単価の細部までは追跡しません)。
  • 所得税・住民税は主要な控除を踏まえた概算で、すべての所得控除・税額控除や自治体ごとの差は反映していません。
  • 社会保険料は厳密には扱っていません。
  • 税制・社会保障制度の改正は自動的には反映されません。表示は作成時点の一般的なルールにもとづく概算です。

退職金・確定拠出年金(DC)の受取時課税については、より詳しい概算を退職金の税金計算機で確認できます。

このツールの限界

  • あくまで入力した前提のもとでの試算であり、将来の成果を予測・保証するものではありません。
  • 税制・社会保障制度の改正、想定外の支出、健康状態、市場の構造変化などは十分に織り込めません。
  • 確率は入力値に強く依存します。前提を変えれば結果は大きく変わります。
  • 本ツールは一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却・保有を推奨するものではなく、投資助言・税務助言にはあたりません。
重要な意思決定の前には、複数の前提で試算し、必要に応じて税理士・ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。ご利用にあたっては免責事項もあわせてご確認ください。