退職金1,000万円の手取りはいくら?勤続年数別に計算
公開日:2026-06-10カテゴリ:退職金
退職金は税金の優遇がとても大きく、同じ1,000万円でも勤続年数によって手取りが変わります。結論を先に言うと、一般的な退職金なら退職金1,000万円は、勤続23年以上で税金がゼロ・全額が手取りになります。この記事では勤続年数別の手取りを計算し、そのしくみと注意点を解説します。
退職金の税金は「3段階」で軽くなる
退職金(一時金)にかかる所得税・住民税は、給与とは別扱いの「退職所得」として、次の順で計算します。
- ① 退職所得控除を引く:勤続年数に応じた控除(後述)を退職金から差し引きます。
- ② 残りを半分にする(1/2課税):控除後の金額の半分だけが課税対象になります。
- ③ 税率をかける:その金額に所得税(累進)・復興特別所得税・住民税10%がかかります。
ただし、勤続5年以下の役員退職金(特定役員退職手当等)や、勤続5年以下の短期退職手当等では、②の「1/2課税」が制限される場合があります。以下は、これらに当てはまらない一般的な退職金を前提とします。
退職所得控除は、勤続20年までは1年あたり40万円(最低80万円)、20年を超えた分は1年あたり70万円です。たとえば勤続30年なら、800万円 +(30−20)× 70万円 = 1,500万円が控除されます。勤続年数に1年未満の端数があるときは切り上げます。
退職金1,000万円・勤続年数別の手取り
退職金1,000万円について、勤続年数別に税金と手取りを計算すると次のとおりです(後述の「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先へ提出している前提)。
| 勤続年数 | 退職所得控除 | 課税対象(1/2後) | 税金合計 | 手取り |
|---|---|---|---|---|
| 10年 | 400万円 | 300万円 | 約50.7万円 | 約949万円 |
| 20年 | 800万円 | 100万円 | 約15.1万円 | 約985万円 |
| 22年 | 940万円 | 30万円 | 約4.5万円 | 約995万円 |
| 23年 | 1,010万円 | 0円 | 0円 | 1,000万円(全額) |
| 30年 | 1,500万円 | 0円 | 0円 | 1,000万円(全額) |
ポイントは、退職所得控除が退職金を上回ると課税対象がゼロになり、税金もかからない点です。1,000万円の場合、控除が1,000万円を上回るのは勤続23年(控除1,010万円)からで、ここが税金がかかるかどうかの分かれ目です。22年(控除940万円)では課税対象が30万円残り、わずかに税金がかかります。23年以上勤めていれば全額が手取りです。
※ 税額は概算です。住民税には自治体ごとの端数処理があり、実際の額は多少前後します。
「申告書」を出していないと、いったん多めに引かれる
上の計算は、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していることが前提です。これを出していれば、勤務先が正しい退職所得の税額を計算して源泉徴収し、原則として確定申告は不要です。
一方、この申告書を出していないと、退職金の額面に対して一律20.42%が源泉徴収されてしまいます(1,000万円なら約204万円)。これは所得税・復興特別所得税についての扱いで、住民税は別途、支払い時に特別徴収されます。源泉徴収された所得税が多すぎた場合は、確定申告をすれば本来の所得税・復興特別所得税との差額を精算できます。手続き漏れで損をしないよう、申告書の提出は忘れないようにしましょう。
iDeCo・企業型DCの一時金がある人は要注意
退職金と、iDeCo・企業型DC(確定拠出年金)を一時金で受け取る場合、退職所得控除を別々にフルで使えるとは限りません。受け取る年やその順序によって、控除の枠が重複調整され、想定より税金が増えることがあります。とくに2026年以降は、DC一時金と退職金の受け取り時期によって、控除の重複を調整する期間(退職金が先なら19年、DCが先なら9年)が関わってきます。両方を受け取る予定がある人は、受け取り方の順序とタイミングが効いてきます。
この論点はiDeCo・DCと退職金をどう考えるか(受け取り方の基本)で詳しく解説しています。手取りの試算はiDeCo/DC 受取方法 比較もあわせてどうぞ。
参考・出典(公式情報)
出典の最終確認日:2026-06-10。制度・税制は改正される場合があります。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。
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