賃貸と購入、結局どっちが得?4,000万円のマンションで試算
公開日:2026-06-10カテゴリ:住宅
「賃貸と購入、どっちが得?」に唯一の答えはありません。結論は前提しだいで簡単に逆転します。この記事では4,000万円のマンションを例に35年後の純資産を試算し、何が結論を分けるのかを具体的な数字で示します。最後に自分の条件で確かめる方法も紹介します。
同じ支出なら「差額を運用」して比べる
フェアに比べるコツは、購入と賃貸で毎月の支出をそろえ、住居費が安い側は浮いたお金(差額)を運用すると考えることです。さらに、購入で必要な頭金・諸費用は、賃貸ならそのぶん手元に残って運用にまわせます。最後に、購入側は「売ったら手元に残る額(物件価値 − 売却費用 − ローン残債)+運用資産」、賃貸側は「運用資産」を比べます(差額投資方式)。
基準ケース:4,000万円のマンション(35年)
次の前提で試算します(金額はすべて実質・現在の価値)。
- 物件価格 4,000万円/頭金 400万円/購入諸費用 280万円(価格の約7%)
- 住宅ローン 金利1.0%・35年(毎月返済 約10.2万円)
- 管理費・修繕 月2.5万円/固定資産税 年12万円
- 物件価格の変動 実質 −0.5%/年/売却時の費用 売却価格の3%
- 家賃 月12万円(実質で横ばい)
- 居住35年・期末に売却/差額の投資利回り 実質3%/年
※ 金利1.0%は、変動金利または低金利ローンを想定した例です。全期間固定金利の場合はこれより高い金利になることがあり、その場合は購入側の結果が悪化します。管理費・修繕費・固定資産税・家賃は、いずれも実質で一定と仮定した概算です(実際は後述のとおり変動します)。購入諸費用280万円は、中古マンションで仲介手数料がかかるケースを含めた約7%の概算で、新築・中古や登記費用などで変わります。
この基準ケースの結果は、購入の純資産 約3,256万円・賃貸の純資産 約3,173万円で、購入が約82万円有利。35年でこの差なら、ほぼ互角といえます。住居費の優劣だけでは決まらない、というのが出発点です。
前提を変えると結論は簡単に逆転する
同じ物件・家賃でも、いくつかの前提を変えるだけで結論は大きく動きます。
| 変える前提 | 購入の純資産 | 賃貸の純資産 | 結論 |
|---|---|---|---|
| 基準ケース | 約3,256万円 | 約3,173万円 | 購入が約82万円有利 |
| 物件価値が維持(0%/年) | 約3,880万円 | 約3,173万円 | 購入が約707万円有利 |
| 価格が下落(−1.5%/年) | 約2,286万円 | 約3,173万円 | 賃貸が約887万円有利 |
| 同条件で家賃が高め(月14万円) | 約3,506万円 | 約1,941万円 | 購入が約1,565万円有利 |
| 同条件で家賃が安め(月10万円) | 約3,256万円 | 約4,656万円 | 賃貸が約1,401万円有利 |
結論を最も大きく動かすのは、①物件価格が将来どうなるかと、②同等の住まいを借りたときの家賃です。物件価値が保たれるなら購入が有利になりやすく、大きく下がるなら賃貸が有利。家賃が購入の住居費より高ければ購入有利、安ければ賃貸有利に傾きます。どちらも事前には確実に分からないからこそ、「どっちが得」と一概には言えないのです。
この試算に入っていない大事な要素
上の数字は住居費と資産の比較に絞った概算で、次のような要素は含めていません。判断の際は別途考慮してください。
- 住宅ローン控除・団体信用生命保険(団信):条件を満たす場合、購入側に有利に働くことがあります。ただし住宅ローン控除は入居年・住宅性能・所得・借入限度額などで適用可否や控除額が変わり、団信も保障価値がある一方で特約によっては金利上乗せのコストが生じます。
- 金利の上昇リスク:変動金利だと、将来返済額が増える可能性があります。試算は一定金利の前提です。
- 各種費用は将来変わる:マンションの修繕積立金は段階的に上がることが多く、大規模修繕の一時金・専有部の設備交換も発生します。固定資産税も評価替え等で変動します。家賃も、地域の需給・住み替え・築年数で実質的に上下します(試算はいずれも一定と仮定)。
- 賃貸側のコスト:賃貸にも更新料・保証料・火災保険・引越し費用、さらに高齢期の入居審査の通りにくさなどがあります。
- 住まいの質・広さ:購入物件と「同等の賃貸」を仮定しています。実際は質が違えば家賃も変わるため、住環境の差も含めて考える必要があります。
- 暮らしの柔軟性・安心感:賃貸は住み替えやすく、購入は老後の住居費が読みやすい——お金に換算しにくい価値もあります。
- 売却の前提:購入側の純資産には35年後の売却可能額を含めています。住み続ける場合、その価値は生活に使える現金ではないため、金融資産とは分けて考える必要があります。
見落としやすい費用は住宅購入 vs 賃貸の比較で見落としやすい費用、購入前に確認したい点は住宅購入の前に確認しておきたいことで掘り下げています。
比較後に確認したいこと
- 物件価格・家賃・売却価値を変えて再試算する
- 見落としやすい維持費・諸費用の記事を読む
- 購入後の教育費・老後資金もライフプランで確認する
参考・出典(公式情報)
出典の最終確認日:2026-06-10。制度・税制は改正される場合があります。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。